楡心会会員からのメッセージ



武藤眞介(むとう しんすけ) (1956年学部卒業、東海大学名誉教授、県立長崎シーボルト大学名誉教授)


結城錦一先生の思い出

 結城錦一先生は、いうまでもなく、北海道大学心理学研究室の創立者です。先生は心理学研究室創設時にほぼ独力で優秀な人材と充実した設備を整えられました。また学生の就職先についても自分指導下にない学生の面倒もさりげなくしかし親切に見てくださいました。(私も先生のおかげで就職できました。)そこで、先生のお人柄をしのばせるエピソードをひとつ紹介します。

 私の在籍当時心理学研究では毎年秋に新入生が入ると「アーベント」という名前(これは結城先生の母校東京大学心理学研究室の行事名称の継承)で卒業生も招待して歓迎会を開いていました。この会では会の終了時に結城先生が愛用のヴァイオリンでシモネッティのマドリガルという曲を演奏され大拍手で会がおわるのが慣行でした。しかし、あるとき会の終了時になってもこの演奏がないのです。先生に理由をたずねると「娘との約束」との事。あるとき先生がお嬢さんに「なにかほしいものがあればいいなさい」といわれたところ「ヴァイオリンをやめてくださらない?」といわれたたからだそうです。因みに先生のお嬢様は当時ドイツの有名な放送交響楽団(シュツットガルト?)だそうです。

(2020年8月寄稿)



プロフィール:1956年北海道大学文学部実験心理学卒業、1958年同修士課程修了、1961年同博士課程単位取得退学。在学中は戸田正直講師(職名当時)の指導の下、行為選択論、特に主観確率の測定について研究。(株)日本リサーチセンター勤務後、東海大学政治経済学部経済学科教授、県立長崎シーボルト大学学長を歴任。趣味はPCオーディオ、音楽鑑賞。